○上郡町議会基本条例

平成24年9月3日

条例第23号

(前文)

上郡町は、古くから山陽道と山陰道の分岐点で物資の集散地として栄え、近年は、播磨工業地帯のベッドタウンとしての役割を果たすとともに、大規模な公共施設事業の整備により、清流と緑につつまれた創造性豊かな田園文化都市を目指している。

上郡町議会は、昭和30年の1町4カ村の合併以来、地域に暮らす町民を代表する合議制の機関として、長い歴史と伝統に培われた円滑な議事運営により、その機能を最大限発揮した活動を行うとともに、時代の変化に即した議会改革にも鋭意取り組んできた。

今日、地方分権の流れの中で、地方公共団体の自己決定権と責任の範囲が拡大され、播磨高原広域事務組合、東備西播定住自立圏形成推進協議会など広域的連携が不可欠な上郡町を取り巻く情勢は大きく変化しており、議会と町長がともに住民を代表する二元代表制において、その一翼を担う議会の責務や役割も増大している。このため、議会の機能の充実強化を図り、議会と町長がそれぞれの責務を果たし均衡を保つことによって、町政を公正かつ効率的に遂行することが求められるなど、議会への期待は一層高まっている。

その一方で、議会が果たしている重要な役割やその活動が住民に十分に伝わっているとは言えず、議会への不信や無関心を招いているとの指摘もあり、本町議会としてもこれを真摯に受け止め、これまで以上に町民への情報発信に努め、町民の信頼と期待にこたえていかなければならない。そのためにも、本町議会は、その果たすべき責務や役割を改めて町民に明らかにし、これまでの改革の取組や成果を確かなものとしてこれを更に発展させていく必要がある。

ここに、本町議会は、町民から選ばれた代表としてその責任を自覚するとともに、日本国憲法及び地方自治法の精神にのっとり、町民の負託に全力を挙げてこたえていくことを決意し、本町議会の最高規範としてこの条例を制定する。

第1章 目的

(目的)

第1条 この条例は、分権と自治の時代にふさわしい、町民に身近な政府としての議会及び議員の活動の活性化と充実のために必要な議会運営の基本事項を定めることによって、町政の情報公開と町民参加を基本にした、住民福祉の向上と上郡町の持続的で豊かなまちづくりの実現に寄与することを目的とする。

第2章 議会・議員の活動原則

(議会の活動原則)

第2条 議会は、町民主権を基礎とする町民の代表機関であることを常に自覚し、公正性、透明性、信頼性を重んじた町民に開かれた議会及び町民参加を不断に推進する議会を目指して活動する。

2 議会は、会議が議員、町長、町民等の交流と自由な討論の場であるとの認識に立って、その実現のために、この条例に規定するもののほか、この条例をふまえて別に定める上郡町議会会議規則(昭和62年規則第1号)等の内容を継続的に見直すものとする。

3 議長は、別に定める上郡町議会傍聴規則(平成6年規則第1号)に定める傍聴に関し、傍聴者の求めに応じて議案の審議に用いる資料等を提供するなど、傍聴の意欲を高める議会運営に努める。

4 議会は、会議を定刻に開催するものとし、会議を休憩する場合には、その理由及び再開の時刻を傍聴者に説明するよう努める。

(議員の活動原則)

第3条 議員は、議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分に認識し、議員相互間の自由な討議の推進を重んじなければならない。

2 議員は、町政の課題全般について、課題別及び地域別等の町民の意見を的確に把握するとともに、自己の能力を高める不断の研さんによって、町民の信託に応える活動をするものとする。

3 議員は、個別的な事案の解決だけでなく、町民全体の福祉の向上を目指して活動しなければならない。

第3章 町民と議会の関係

(町民参加及び町民との連携)

第4条 議会は、議会の活動に関する情報公開を徹底するとともに、町民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。

2 議会は、本会議のほか、常任委員会、特別委員会を原則公開するとともに、町民が議会の活動に参加できるような措置を講じるものとする。

3 議会は、常任委員会、特別委員会等の運営に当たり、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用して、町民の専門的又は政策的識見等を議会の討議に反映させるものとする。

4 議会は、請願及び陳情を町民による政策提案と位置づけるとともに、その審議においては、これら提案者の意見を聴く機会を必要に応じて設けることができる。

5 議会は、町民、町民団体、NPO等との意見交換の場を多様に設けて、議会及び議員の政策能力を強化するとともに、政策提案の拡大を図るものとする。

6 議会は、重要な議案に対する各議員の態度を議会広報で公表する等、議員の活動に対して町民の評価が的確になされるよう情報の提供に努めるものとする。

7 議会は、前6項の規定に関する実効性を高める方策として、全議員の出席のもとに町民に対する議会報告会を必要に応じて開催し、議会の説明責任を果たすとともに、これらの事項に関して町民の意見を聴取して議会運営の改善を図るものとする。

第4章 町長と議会の関係

(町長等と議会及び議員の関係)

第5条 議会の本会議における議員と町長及び執行機関の職員(以下「町長等」という。)の質疑応答は、広く町政上の論点、争点を明確にするため、一問一答の方式で行う。

2 議長から本会議及び常任委員会、特別委員会への出席を要請された町長等は、議員の質問に対して議長又は委員長の許可を得て反問することができる。

(町長による政策等の形成過程の説明)

第6条 町長は、議会に計画、政策、施策、事業等(以下「政策等」という。)を提案するときは、政策等の水準を高めるため、次に掲げる政策等の決定過程を説明するよう努めなければならない。

(1) 政策等の発生源

(2) 検討した他の政策案等の内容

(3) 他の自治体の類似する政策との比較検討

(4) 総合計画における根拠又は位置づけ

(5) 関係ある法令及び条例等

(6) 政策等の実施にかかわる財源措置

(7) 将来にわたる政策等のコスト計算

2 議会は、前項の政策等の提案を審議するに当たっては、それらの政策等の水準を高める観点から、立案、執行における論点、争点を明らかにするとともに、執行後における政策等の評価に資する審議に努めるものとする。

(予算・決算における政策等説明資料の作成)

第7条 町長は、予算案及び決算を議会に提出し、議会の審議に付すに当たっては、前条の規定に準じて、分かりやすい施策別又は事業別の政策等説明資料を作成するよう努めるものとする。

(議決事項)

第8条 地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法律」という。)第96条第2項の議会の議決事項については、代表機関である議会が、町政における重要な計画等の決定に参画する観点と同じく代表機関である町長の政策執行上の必要性を比較考量のうえ、別に条例で定める。

第5章 自由討議の拡大

(自由討議による合意形成)

第9条 議会は、議員による討論の場であることを十分に認識し、議長は、町長等に対する本会議等への出席要請を必要最小限にとどめ、議員相互間の討議を中心に運営しなければならない。

2 議会は、本会議、常任委員会、特別委員会等において、議員提出議案、町長提出議案及び町民提案等に関して審議し結論を出す場合、議員相互間の自由討議により議論を尽くして合意形成に努めるとともに、町民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。

3 議員は、前2項による議員相互間の自由討議を拡大するため、政策、条例、意見等の議案の提出を積極的に行うよう努めるものとする。

第6章 議会・議会事務局の体制整備

(委員会等の適切な運営)

第10条 議会は、社会、経済情勢等により新たに生じる行政課題に適切かつ迅速に対応するため、常任委員会、特別委員会等の適切な運営により機動力を高めなければならない。

(議会図書室の充実)

第11条 議会は、議員の調査研究に資するため、議会図書室の充実強化に努めるものとする。

(議会事務局の体制整備)

第12条 議会は、議会及び議員の政策形成・立案機能を高めるため、議会事務局の調査・法務機能を積極的に強化する。なお、当分の間は、執行機関の法務機能の活用、職員の併任等を考慮するものとする。

(議会広報の充実)

第13条 議会は、町政に係る重要な情報を、議会独自の視点から、常に町民に対して周知するよう努めるものとする。

2 議会は、情報技術の発達をふまえた多様な広報手段としてのケーブルテレビやホームページ等を活用することにより、多くの町民が議会と町政に関心を持つよう議会広報活動に努めるものとする。

第7章 議員の身分・待遇、政治倫理

(議員定数)

第14条 議員定数は、別に条例で定める。

2 議員定数の改正に当たっては、行財政改革の視点だけでなく、町政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するとともに、議員活動の評価等に関して町民の意見を聴取するため、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用するものとする。

3 議員定数の条例改正案は、法律第74条第1項の規定による町民の直接請求があった場合を除き、改正理由の説明を付して必ず議員が提案するものとする。

(議員報酬)

第15条 議員報酬は、別に条例で定める。

2 議員報酬の改正に当たっては、行財政改革の視点だけではなく、町政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するとともに、議員活動の評価等に関して町民の意見を聴取するため、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用するものとする。

3 議員報酬の条例改正案は、法律第74条第1項の規定による町民の直接請求及び町長が提案する場合を除き、改正理由の説明を付して必ず議員が提案するものとする。

(議員の政治倫理)

第16条 議員の政治倫理は、別に条例で定める。

2 議員は、町民全体の代表者としてその倫理性を常に自覚し、自己の地位に基づく影響力を不正に行使することによって、町民の疑惑を招くことのないよう行動しなければならない。

第8章 最高規範性及び見直し手続

(最高規範性)

第17条 この条例は、議会運営における最高規範であって、議会は、この条例に違反する議会の条例、規則、規程等を制定してはならない。

2 議会は、議会に関する日本国憲法、法律及び他の法令等の条項を解釈し、運用する場合においても、この条例に照らして判断しなければならない。

(議会及び議員の責務)

第18条 議会及び議員は、この条例に定める理念及び原則並びにこれらに基づいて制定される条例、規則、規程等を遵守して議会を運営し、もって町民を代表する合議制の機関として、町民に対する責任を果たさなければならない。

(見直し手続)

第19条 議会は、必要に応じて、この条例の目的が達成されているかどうかを議会運営委員会において検討するものとする。

2 議会は、前項による検討の結果、制度の改善が必要な場合は、この条例の改正を含めて適切な措置を講じるものとする。

3 議会は、この条例を改正する場合には、全議員の賛同する改正案であっても、本会議及び第4条第7項に規定する報告会において、改正の理由及び背景を詳しく説明しなければならない。

この条例は、平成24年10月1日から施行する。

(平成26年12月9日条例第33号)

この条例は、公布の日から施行する。

(平成28年7月19日条例第28号)

この条例は、公布の日から施行する。

(令和5年1月31日条例第1号)

この条例は、公布の日から施行する。

上郡町議会基本条例

平成24年9月3日 条例第23号

(令和5年1月31日施行)

体系情報
第2編
沿革情報
平成24年9月3日 条例第23号
平成26年12月9日 条例第33号
平成28年7月19日 条例第28号
令和5年1月31日 条例第1号